かなりメリットが増えた?生前贈与なら「新」相続時精算課税制度?

こんにちは。

東京都杉並区下井草、気軽な税理士、草野岳(くさのがく)です。





そもそも



どんな制度なのか、



理解するまでのハードルが高かったりします。






そのため、



基本から、書いていきたいと思います。








1.基本



相続時精算課税制度をザックリ説明すると




・一定の贈与額まで、贈与税が免除される代わり、




・相続時にその贈与額が加算され、相続税として課税される




となります。









おそらく



この表現を聞いたときの(知ったときの)



感想は2つ







・えっ、だったら意味ないじゃん




・どっちが得なのか












まず前者(意味ないじゃん・・)の解説から



初めてこの制度を知ったとき



私はそう感じました。






ところが現実そうではない・・






例えば、



値上がりしそうな2,000万円の土地がありました。




相続時には、5,000万円以上になるかな・・



今、子供に贈与しておけば



相続財産も減らせるし・・






とはいえ、今、贈与税を払うお金





手元にない





こんなとき、この制度の効果が発揮されます。








この制度を活用すると、



総額2,500万円までの贈与が無税となります。



その枠内であれば



手元にお金がなくても、贈与できることになります。








贈与税には



優遇される特例贈与と一般贈与の2つがあり、





仮に



2,000万円贈与の場合、



特例贈与でも、贈与税が600万円以上かかります。






とてもじゃないけど、今600万円、手元にないし




あっても払いたくない、というような場合には、






この制度、とても便利です。














つぎに後者(どっちが得なの・・)の解説




正直、これを完璧に回答できる方は、誰もいないでしょう。



なぜなら、



土地などの財産



将来の値上がり、値下がり



将来になってみないと分からないからです。







つまり



活用したので得した



活用したから損した





将来時点でわかることが多いでしょう。









例えば、



この制度を活用し



今、2,000万円の土地を贈与しました。



将来、贈与者(特定贈与者という)に相続が起こりました。



土地の価値が5,000万円になっていました。






このケース、相続財産に加算されるのは



贈与時の価値2,000万円で済みます。



つまり、得、というケース








ところが




相続の際



1,000万円に価値が下がっていました。



それでも相続財産には2,000万円(贈与時の価値)加算されます。



つまり、損、というケース








このように、



将来の読みにくさが



相続時精算課税制度



活用するかどうか、検討する場合のムズカシさです。







ただ、



上記(前者)解説のとおり



今、贈与したい財産があり、



その価値2,500万円以内であれば




贈与税を払うお金がない、としても




無税で贈与できる、




という点はこの制度のメリットでしょう。















2.「新」相続時精算課税制度(以下、新制度、という)



新というのは、勝手に私が付けているだけで



正確な表現ではありません。






ただし、




令和6年1月1日から、




大きく変わったことは間違えなく




その点について、書きたいと思います。









下記の変更点は、



メリットが多いといえますので



新制度を活用するかどうか、検討材料になります。









なお、



新制度に限ったことではなく



この制度を活用した場合の



根本的なデメリット



最後に書きます。










(1)基礎控除(年間)110万円の創設




新制度がスタートする前は、




相続時精算課税制度を活用すると




その贈与者(以下、特定贈与者)からの




贈与について、基礎控除がありませんでした。









例えば、



特定贈与者から



2,500万円の贈与を受けたあと




毎年100万円、現金贈与を受けた場合



その100万円に贈与税がかかっていました







ところが




令和6年1月1日以降、年間110万円までは




特定贈与者からの贈与であっても贈与税がかかりません。







これはとても大きな改正事項と思います。









【すこし詳しく】



これまで、



特定贈与者からの年間110万円の基礎控除は無かったので



2,500万円を超えたら全部、課税しますね、という制度だったのに対し






新制度では、



2,500万円の枠に達する



「までの間も」



特定贈与者からの



年間110万円までの基礎控除が適用され







さらに



2,500万円の枠に達した



「あとの間も」



特定贈与者からの



年間110万円の基礎控除が適用されます。










つまり、




新制度では




特定贈与者からですら、




年間110万円の基礎控除が受けられるため




2,500万円(基礎控除後)の枠を毎年、少しずつ使うほどに




節税効果を高められるようになりました。











(節税効果が低いケース)



新制度を活用し、1年で2,700万円の贈与を受けた。



基礎控除は、1年分(1回)の110万円のみ









(節税効果が高いケース)



新制度を活用し、6年間かけて、毎年500万円の贈与を受けた。



基礎控除は、6年分(6回)の660万円を受けられる




この場合、


・新制度の

・年間利用枠は390万円(500万円-110万円)となり

・6年かけても2,340万円しか利用しておらず(390×6回)

・6年経っても2,500万円の限度額に達していないことになります














(2)年間110万円までの相続財産への加算がなくなった



これまで



この制度を活用すると



贈与した財産は、相続があったとき



すべて相続財産として加算されるルールになっていました。








ところが



新制度では



相続時までの贈与額のうち、



年間110万円までの贈与財産は加算しなくてよい



というルールに改正されました。








新制度を活用し



相続発生時まで、






長期間、少額ずつ贈与するほど





年間110万円までの相続財産への非加算効果は増え



相続財産を減らすことができるイメージになります。








なお、



上記(1)と、この(2)は



なんとなく似ているので



違いが分からなくなる



混同してしまう可能性がありますので、



ここで整理します。





・(1)は、精算課税制度を活用した場合でも


生前時の基礎控除が創設された




・(2)は、精算課税制度を活用した場合でも


相続時に加算しなくてよい基礎控除が創設された








つまり、新制度は




生前時、相続時




両方について優遇措置が追加されたことになります。













(3)災害特例



基本の箇所で、この制度を活用して、得した、損した、は



将来になって分かることが多い、と書きました。





その大きな理由の1つに、災害による



土地・建物の損壊もあるのではないでしょうか。







例えば、



この制度を活用して2,000万円の土地建物を贈与したが



災害で損壊し、相続時の価値が500万円だった





なのに贈与時の2,000万円で相続財産に加算



となると、





当事者としてはやるせない気持ちになるでしょう。





このようなことがないよう



特例として、



この制度の活用開始の後



一定の災害にあって価値が大幅に下がった場合



その大幅な価値減少を、反映させましょう、という措置が追加されました。








これにより



少なくとも、



新制度の活用開始後



土地・建物を贈与するかどうか、



災害があったらどうしよう(制度活用によって損してしまう)



という部分について悩む必要はなくなったのかもしれません。














3.この制度のデメリット




(1)特定贈与者については暦年課税に戻れない



例えば、



Aさんからの贈与に、



この制度を選択した場合、



Aさんからの贈与については



暦年課税(1年間を単位として課税する原則制度)に戻すことはできません。









上述のとおり、



新制度では基礎控除が創設されたため



これまでよりは、慎重になるべき部分が減りましたが、





それでも、次の(2)については





・超重要となりますので





本当に活用してよいか



判断には細心の注意



必要です。











(2)小規模宅地等の特例が適用できない



相続時精算課税制度を活用し



贈与した土地には、



小規模宅地等の特例が適用できません。







詳細について、この記事では割愛しますが



最大8割の評価減を受けられる小規模宅地等の特例







相続時精算課税制度を活用してしまったばかりに



小規模宅地等の特例を受けられなかった



こんなことになってしまわないよう








相続時精算課税制度を活用して贈与しようとする土地がある場合



その土地が、



小規模宅地等の特例の適用対象となる土地なのかどうか



しっかりと確認する必要があります。








もし小規模宅地等の特例の適用対象となる場合は、



相続時精算課税制度を活用しての贈与をやめる、



など慎重な検討が必要です。








お問合せ / 無料相談

g.kusano@outlook.com

確定申告やインボイスなど

お気軽にお問合せください




20代のとき大手会計専門校で

全国講師No1を獲得(受講生満足度評価)

分かりやすいご説明に定評をいただきました。




経理・財務として12年間

経営者の右腕として寄り添い

良いとき悪いとき多くを経験

経営相談も得意としています。

どうすると良くなるのか

どこが悪くなる場合のターニングポイントか、など



一般的な経営・税務相談

はじめての税理士選び、起業のこと

税理士の私が無料でご回答しています!



遠方の方も大歓迎です。

クラウド会計、zoom等を活用しますので

安心してお任せください。



税理士 / 成長に合わせた経営相談とクラウド会計に力を入れています

草野岳税理士事務所ホームページ 杉並区下井草/東京税理士会(荻窪支部所属) お問合せ g.kusano@outlook.com 経営相談・税務相談・税理士をお探しの場合など お気軽にご連絡ください(税理士の私が直接ご対応いたします)

0コメント

  • 1000 / 1000